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うさぎと暮らす野鳥好き

nasu00012011-09-12

▽せせせにニンジン、固形飼料を与える。
▽快晴。気温上昇中。
▽昨日の夢。
▽子供の頃。私は6歳ぐらい、妹はよっつ程だった。ふたりはカモノハシを飼っていた。名前は「酢酸カーミン」。本当の名前は違ったが、今はもう思い出せない。メチレンブルーでもオーキシンでもジベレリンでもランゲルハンス島でもレーゾンデートルでもレジデンシャル板橋でもない。「酢酸カーミン」みたいな語感の名前だった。
▽「酢酸カーミン」は、すごく懐いてどこにいくのでも一緒に行った。なんでも一緒に遊んだ。一緒に歌をうたった。いじめる子からはうしろ足にあるトゲで守ってくれた。
▽でも、育ちすぎた。育ちすぎて子供ふたりでは到底飼えなくなり、親は「酢酸カーミン」を動物園に連れて行った。悲しかった。動物園の柵越しに「酢酸カーミン」を見る、などという悲しすぎることはできず、「酢酸カーミン」が連れて行かれたあと、動物園には一度もいかなかった。
▽10年が過ぎた。妹と動物園に来た。「カモノハシ」の表示を探す。あそこにいる! 体長はすでに3メートルを越えているだろうか。「酢酸カーミン」は僕たちよりも大きくなり、柵の向こう側で寝そべっていた。「酢酸カーミン」は僕たちを忘れていなかった。すぐに気がついて泳いでこちらに近づいてくる。あの頃、僕たちが作った「酢酸カーミン」の歌を「酢酸カーミン」が歌ってる。僕たちも声をあわせて歌った。僕たちの目からは涙が流れたが、「酢酸カーミン」は全身びしょぬれだったので、よくわからなかった。そもそもどこに目があるかどうかすらよくわからないよ、「酢酸カーミン」……。
▽夢の中で感じるリアリティっていうのは、本当に特別なモノだな、と。リアリティが成立するはずのない枠組みとシチュエーションの中で、なぜかそれが日常よりも強いリアルさを持って迫ってくる。カモノハシの「酢酸カーミン」がせまってくる。
▽せせせにニンジン、ハルノノゲシを与える。日常業務。