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うさぎと暮らす野鳥好き

人生の掟(17)お前のモラルはお前を律するに過ぎない

nasu00012011-06-16

▽せせせにニンジン、キャベツを与える。
▽栗の花のにおいは、一種の悪臭だと思っていたけれど、寺田に「栗の花」というエッセイがあり、そこには栗の花について「落ちた花は朽ち腐れて一種甘いような強い香気が小庭に満ちる」との記述とともに、郷里の親戚の娘の淡い記憶が語られていて、寺田が悪臭だと感じていた節はない。においと記憶はどうしてこんなにも密接に結び付いているのか。寺田も栗の花のにおいがする初夏がくる度にその娘のことを思い出していたのかもしれない。
▽吐瀉美図書館へ。おおう。クーデルカは見なくちゃダメじゃん!! すっかり忘れてたよ……今日は見れないけど。で、資料のカラーコピーはできないらしい。目的完全消滅。吐瀉美に行く前にこやかにパンを売っていた神戸屋の娘は、図書館から帰ってきた時にも同じように笑顔だった。
▽帰ったら靴を洗うこと。
▽市ヶ谷へ。泰山木が咲いている。泰山木は名前だけ知っていたが、今日初めて花をみた。で・か・い。ちょっと気持ちが悪いぐらい大きい花。
▽リービッヒの最小律。ドベネックの桶。
▽雨だ。
▽先刻までぽつぽつと額にあたっていた雨は、電車に乗り込むと同時に激しくなり、プラットホームの向こうに止まっている列車の屋根を強く叩きつけた。雨粒はくだけ、あたかも白い霧のように列車を彩る。
▽すぐにまた小降り。
▽この天気の悪い中、あえて靴を洗う。ひとつのチャレンジとして。しかし、セダークレストのほうはかなり高機能化している、もうダメだな。いや、こちらのほうももうすこしチャレンジを続けてみるか。どこまで履き続けることができるのか、という挑戦。同時期に買った(そして、セダーの倍は履いている)ニューバランスはさすがにまだ大丈夫だが、それでも踵の内側はすこし傷んでいた。万物流転。
▽せせせにニンジン、キャベツを与える。日常業務。
寺田寅彦『随筆一』(全集第1巻)